夕方、外の雨は天邪鬼のように止み、天気は晴れた。
自宅アパートで二人は順番にシャワーを浴び、夕飯を共同で作っていた。
「ちっ、なんでこんな面倒なことに」
「あんたがすっころんで卵たたき割ったからでしょ! 罰だ罰!」
ちなみに夕飯はミートオムレツからカレーライスに代わっていた。
「でもひき肉買い忘れたのは私だけの責任じゃにと思うよ灯」
「うるさいわね、人間だれしもミスするのよ人間だもの」
「詩人なの灯」
「ちゃうわ」
それでも夜にはカレーを仲良く囲んで食べる。
「いっただきまーす」
「いただきます」
灯が溜息を吐きながら言う。
「はあぁ……今日は疲れたわ」
「そう? 雨にたたられて寒かったけどそれはそれで楽しかったけど」
「あんた得な性格ね、明子」
「あらそう? ありがとう!」
「―――別に褒めとらんが、ん……まあいいいや」
「ん?」
呆けた顔の明子とあきれる灯。
彼女らの平凡でよくある休日が終わるのだった。
明子と灯(終)