平修(たいらおさむ)ブログ

私の作品やその他日記、統合失調症の闘病などを徒然とを書いています。

明子と灯5(完)

夕方、外の雨は天邪鬼のように止み、天気は晴れた。

自宅アパートで二人は順番にシャワーを浴び、夕飯を共同で作っていた。

「ちっ、なんでこんな面倒なことに」

「あんたがすっころんで卵たたき割ったからでしょ! 罰だ罰!」

ちなみに夕飯はミートオムレツからカレーライスに代わっていた。

「でもひき肉買い忘れたのは私だけの責任じゃにと思うよ灯」

「うるさいわね、人間だれしもミスするのよ人間だもの」

「詩人なの灯」

「ちゃうわ」

それでも夜にはカレーを仲良く囲んで食べる。

「いっただきまーす」

「いただきます」

灯が溜息を吐きながら言う。

「はあぁ……今日は疲れたわ」

「そう? 雨にたたられて寒かったけどそれはそれで楽しかったけど」

「あんた得な性格ね、明子」

「あらそう? ありがとう!」

「―――別に褒めとらんが、ん……まあいいいや」

「ん?」

呆けた顔の明子とあきれる灯。

彼女らの平凡でよくある休日が終わるのだった。

 

 

明子と灯(終)