2024-02-12 月と詩と水底 冬の夜に下弦の月が淡く儚く浮かぶ 涙の宝石が月夜に煌めく 煌めきは人の哀愁を詠い 詩人は息を吐くようにそれを記す 劣等感を殺せるだけの 幸せに程遠い刃物で 漆黒の闇を切り割くのなら 記した詩は意味をなすだろうか 幸福の対は不幸だ どちらにも天秤は傾く 悲しみははるか水底で息を潜める 深い淵で大きな口を開けている