彼はある日の午後、私にこう言った。
それは私が街で買ってきたパスタを料理して彼に昼食として差し入れたあとだった。
「ミリーはなんでそんなに僕の絵をいつも見てくれるんだい? 他の人はあんなに説明しても見向きもしないのに」
大量のキャンバスを背にして彼は言う。
私は急に改まった彼にこう返した。
それはあなたのファンだからよ、って。
彼は満足げに笑って、そうかそうか。なんて言っていた。
でも、私はどっちかというとファンと言うよりはただ彼に話しかけたいだけの世話焼きだ。
彼がこれからどうなるかも知りたいし、どんな道をゆくのかを見ていたい。
ずっとずっと。それは飽きない話なのだ。
だって彼ほど愛らしい人間臭い人間はそう居ないし、見ていてハラハラするから放っておけない。
だから私はこうして彼に話しかけている。
こんな小さな嬉しさが続くといいのにと思っていた。
日は刻々と進む。
(次回に続く)