私はすぐさま彼のもとを再び訪ねて彼に言った。
あなたはこんな位で折れてしまう人間じゃない。
私はずっと見続けていたのだから。
すると彼は憔悴しきった眼で私に言った。
「あんなに怒鳴ってしまったというのに、ミリーは優しいね……でも世間は僕の作品を受け入れてくれなかったんだよ」
すがりつくように私によってくる彼はまるで喧嘩に負けて泣きじゃくる子供のようだった。
本当に弱々しくかつての活き活きした姿は微塵も面影がない。
私は彼の姿に何故か腹が立った。
次の瞬間には私は彼の頬をひっぱたいていた。
自分でも驚いたけど彼とは口論になっても手まで出したことはない。
それほど彼の情けなさに私は頭にきていた。
目をまん丸にして驚く彼に私は確かなにか怒鳴りつけたけど、もう内容はよくわからない。
ただ彼が驚いて叩かれた頬を擦り続けていたのは目に入った。
「ミリー……その、ごめん」
彼はほうけた顔で気まずそうに私へ謝った。
この時からかはわからない。
彼の中でなにか区切りがついたのか、彼は立ち直り、見違えるように作品作りに励むようになっていった。
(次回に続く)