やがて彼の努力は実るときを迎えた。
彼の作品はとある著名な画家の眼に留まり、彼はその画家の後追しで小さな個展を開いた。
彼の描く色合い、独特の世界は個展に訪れた人を魅了した。
彼は満足げに観覧するお客さんを見ていた。
私もそんな彼を見て誇らしかった。
同時に最初のファンは私なんだぞ、ってお客さんに自慢した位くらいだった。
彼は今までにない嬉しそうな笑顔で私に言った。
「これもミリーのおかげかな? ミリーがいなかったら僕はご飯も食べないくらい絵に熱中してしまうからね」
私は思わず笑った。
最初は笑うのを堪えていたけれど、結局大笑いして。
なんだか私も嬉しくなっていて、最後には何故か泣いていた。
なぜかって。
それは色んな感情が私の中でない混ぜになっていたから。
彼がなんだか遠くに行ってしまいそうな、確証のないそんなぼんやりとした想像。
それとは別に彼の努力が認められて感極まった事。
自分でも驚く。
このときにようやく認めた、彼は私にとって大事な私の一部なんだと。