それから晩年にかけて。彼は逆境から這い上がり、その生涯を名声とともに終えた。
彼を惜しむ声は各地から止むことなく届き、彼のことは誰もが認めるものとなった。
彼と一生を共にした私、ことミリアッシュは長い月日を伴侶として過ごし、そのすべての行動を自分の行動とともに日記に記しあげた。
破天荒でありながらも実に人らしい生き方。
その一部始終を記した日記はやがて知人の手を借りて一つの物語となった。
その本のタイトルは “ 彼の描く色 ”というタイトル。
この本は各地で愛され、彼を知る人から全く知らない人にまで伝わった。
そしてこの本は、私の思い出と彼の教えたくれたすべてが詰まっている。
情熱、心、夢。人生は美しく輝かしく。
時に残酷だけど眩い。
なんだかそんな事をしんみり思わせてくれる。
私は穏やかな気持ちで彼のことを想いながらこの日の日記を記した。
もうじきあなたにまた会える日が来るのだろうけど。
それはもう少し先。
私は今、まだここにいなくてはならない。
ランプを消すと部屋は暗くなり、私は昔の夢を見るのだった。
「―彼の描く色―」 了