意気揚々と外に出ようとする二人、するとポツポツと雨が。
「な、これは組織の陰謀か! 天候操作によるミッション妨害とはやってくれる!」
明子が電波な妄言を吐く。
「あんたほんと脳内どうかしているよ、どっかのタイムリープするアニメの見過ぎだ、それ」
「ふんすっ」
「頼むから真顔でやるな、あと傘持ってこう」
「そうね、雨だけに止む無し」
「誰がうまいこと言えって言った!」
二人は傘をそれぞれ持ってポケットにエコバックを入れスーパーに繰り出す。
ほどなく歩いてスーパーにつくと人で賑わっており広々した店内は今、人でひしめき合っていた。
「卵はどこじゃい」
「落ち着け、戦いはまだ始まったばかりだ」
二人はそれぞれ喋り、焦りながら探す。
すると一段と人だかりの多いコーナーを二人は発見する。
当然、目当ての卵は既に品薄だった。
「急がないとやばい!」
「そのようね!」
あれよあれよといううちに特売の卵は買い物客のかごへと吸い込まれていくのを見て二人は焦ってコーナーに向かい。
「よっしゃゲット!」
「やったわね」
しかしレジに行って会計を済ませようとすると。
「申し訳ありませんお客様、こちらの商品は当店で千円以上お買い上げの方のみのサービス品でして、もう千円お買い上げいただくかキャンセルしていただくかのどちらかになります。
「どうする灯、なんかここで帰るのって癪じゃない? あんたどう思う?」
「これは確かに同感ね、冷蔵庫も空だし、もう二千円買い物していきましょう」
「らじゃ」
ということで買い物を再度計画することになった女子二人。
スーパーの入り口から商品を物色する。
「いい二千円だからね二千円、どうせだから日持ちするものにしましょ」
明子が言うと、灯が頷きながら。
「はいよ」
と答える。
灯が人参、ジャガイモ、玉ねぎ、それから缶詰少々をかごに入れてうーんと唸った。
「どうした灯? 計算できなくなった? スマホの電卓使えばいいじゃん」
「あんたの頭と一緒にするな」
「冷酷な女はモテマセンヨー」
「大丈夫、少なくともあんたよりか私モテるから」
「超・心外!」
「明子あんた欲しいのは無いの?」
灯が明子に聞くと彼女は。
「えー……イケメンでお金持ちの彼氏」
「そこから離れなさい! ドアホっ! そうじゃなくて、このスーパーでの話だっ」
「えーじゃーお菓子」
「投げやりだなおい」
灯があきれたように肩をすくめて溜息を吐く。
「食料品だよ食べたいもの、なんかあるかってきいてるのに」
「だって調理してくれるのは灯でしょ、灯が選べばいいじゃないの」
「あんたが普段あまり調理しないから私がやっているの! 普段から手伝え!」
「めんどくさい」
「―――しばくぞ貴様」